抜け毛の先に「毛根鞘」が付いていると薄毛になる?毛根鞘の働きと薄毛の関係について
抜け毛の先に、透明なゼリー状の塊が付着していたことはありませんか?この塊が付いていると、そこからはもう毛が生えないと信じている方もおられるでしょう。
このゼリー状の塊は「毛根鞘」と呼ばれるもので、髪の育成に重要な役割を果たしています。
では、毛と一緒に毛根鞘が抜けてしまうと、本当に髪は生えてこなくなってしまうのでしょうか。まずは毛根鞘の働きを知り、薄毛とどのような関係を持つのかを正しく理解しましょう。
毛根・毛根鞘の働きを知ろう
薄毛を予防し健康な髪を育むためには、毛根と毛根鞘が髪の成長とどのように関わっているのかを知る必要があります。まずは毛根の概要をご紹介していきましょう。
そもそも毛根とは、皮膚より下に生えた毛のことです。表皮の外に伸びた毛は毛母細胞の細胞分裂によって作られたもので、この部分を毛幹と呼びます。
そして毛根は、ツヤとハリのある毛幹を作るうえで欠かせない重要な部分です。
毛根部は「毛球」「毛乳頭」「毛母細胞」「毛包」の4つに分けられます。
毛球とは根元に存在するふくらんだ部分のことです。毛乳頭は髪に必要な栄養などを毛乳頭に送る役割を持ち、毛母細胞は毛乳頭から受け取った栄養を元に細胞分裂を繰り返して髪を生成する働きを持ち、毛包は毛根を包み込んでいる部分を指します。
そして毛根鞘は、毛包と皮膚の両方に接している部分のことです。この二つを繋ぐ役割を担っており、皮膚の下に存在する毛の土台となる部分を合わせて毛根と呼びます。
毛根鞘が抜けると薄毛になる?
それでは、毛根鞘が抜けると髪が生えなくなるという噂について検証していきましょう。
まず、毛の根元に付いた透明の付着物には毛根鞘の他にもう一つの種類があります。透明の塊が髪の毛よりも硬い場合は毛根鞘と考えられますが、粘り気がある場合は皮脂や汚れなどが付着している場合もあるでしょう。
結論を先にお伝えすると、毛根鞘が抜けたとしても髪が生えなくなるようなことはありません。
髪の生成には毛乳頭の存在が非常に重要となるのですが、毛根鞘が抜け毛に付着していたとしても毛乳頭まで抜けることはないため、髪の成長に影響を及ぼす可能性はないと考えられます。
また、毛根鞘でなく皮脂などの汚れが付着していた場合も、それが薄毛と結びつくことはありません。そのため、抜け毛の先に透明の塊が付いていたからといって、そこから髪が生えてこなくなるわけではないのです。
異常な抜け毛は薄毛の前兆
ここまで毛根鞘と薄毛の関係についてお伝えしてきましたが、毛根鞘が抜けても問題ないからといって、抜け毛を軽視するのはよくありません。
抜け毛は誰にでも起こる正常な現象です。抜け毛の増加や髪質の低下を感じたら、それは単なる抜け毛ではなく薄毛の前兆である可能性があります。
頭髪の状態に不安を感じるようであれば、虫眼鏡などを使い抜け毛の毛根部分を確認してみましょう。
正常な毛根は、ふっくらと丸みを帯びた楕円形になっています。この形の毛根は栄養がきちんと行き渡っており、抜けたとしても再び健康な髪が生えてくるはずです。
しかし、毛根の形がいびつだったり細くなっていたりする場合は注意しなければなりません。
また、ふくらのない毛根は、栄養が十分に行き届かず弱っている証拠です。
抜けた後に生える髪も成長しきる前に抜けてしまうかもしれません。ヘアサイクルが乱れ続けることで、髪が徐々に弱まり薄毛を発症してしまう可能性があります。
また、毛先に皮脂が多く付着している場合も注意が必要です。
皮脂が多量に付着するということは、毛穴に皮脂汚れが溜まりやすくなっていると考えられます。過剰な皮脂は薄毛やフケ、脂漏性皮膚炎などの原因になりますので、ヘアケアの見直しをおこなうようにしましょう。
おわりに
抜け毛の先に毛根鞘が付着していたとしても、それ自体に問題はないため不安に感じる必要はありません。ただし、抜け毛が増えたり毛根の形が異常だったりする場合は、初期の薄毛が始まっている可能性もあります。
頭皮や頭髪の状態に不安を感じたら、一人で抱え込まずにクリニックの門をくぐってみましょう。専門的なアドバイスを受けることで、不安が解消され前向きな薄毛治療に取り組めるはずです。