避妊率ほぼ100%!「パイプカット」の手術法とメリット・デメリット
避妊にはコンドームやピルなどさまざまな方法がありますが、確実性の高い避妊法としてパイプカットと呼ばれるものがあります。しかし、名前は耳にしたことがあっても具体的な手術法は分からないという方がほとんどではないでしょうか。
そこで今回は、パイプカットの特徴や手術法、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
コンドームでは確実な避妊が難しい
数ある避妊方法のうち、もっとも一般的といえるのがコンドームでしょう。コンドームは男性器に装着するタイプの避妊具で、安価で手に入りやすく、手軽に使用できるという点が最大のメリットです。
しかし、コンドームのみを使用した避妊は確実とはいえません。なぜなら装着ミスや使用中の破損により、妊娠してしまうケースが少なくないためです。
コンドームは性感染症予防としての効果が高く、性病を防ぐために使用するのは非常に有効といえます。しかし上記の通り避妊に失敗するリスクがあるため、避妊に確実性を求めるのであれば別の方法を検討した方がよいでしょう。
パイプカットの特徴と手術法
パイプカットという名前から、激しい痛みを伴う大がかりな手術をイメージする方が多いようです。パイプカットは精管結紮術とも呼ばれており、実際には30分程度でおこなえるためそれほど複雑な手術ではありません。
精子は睾丸から精管を通じて前立線尿道に送られますが、パイプカットでは睾丸と尿道を繋ぐ精管を切り離し精子の流れを遮断します。精管が切り離されることで精液に精子が混ざらなくなり、射精をしても妊娠する心配がなくなるのです。
また、パイプカットをしても精液自体は出せるため今までと同じ感覚で射精をすることができます。
ちなみに、この手術ではメスを使用することはありません。陰嚢の皮膚に6ミリ前後の穴を開け、そこから精管を出し切断します。
切断後は電気メスで精管を塞ぎ元に戻すため、クリップなどを使用する必要はありません。手術は局部麻酔下でおこなわれ、手術後も強い痛みが出ることはないとされています。
施術当日から仕事が可能で、性行為は術後10日ほどでおこなえるようになります。健康保険適用外のため自費で15~20万円ほどかかりますが、生涯を通じて避妊具にかかる費用を考えれば経済的といえるのではないでしょうか。
手術のメリット・デメリット
この手術は確実性の高い避妊方法ではありますが、メリットばかりというわけではありません。パイプカットのメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
パイプカットのメリットは、確実性が高く避妊具を併用する必要がないということです。一度手術をおこなえば半永久的に避妊の効果が持続するため、コンドームなどの避妊具を購入する手間や金銭的な負担がかからなくなります。
また、女性が妊娠するリスクがなくなることで、女性にかかる負担をなくすこともできるでしょう。
デメリット
一度パイプカットをおこなうと、精管を元に戻すことが難しくなります。
精管を再び繋げる手術もありますが、完全に元の状態に修復することは簡単ではありません。手術が成功しても、精子の機能が低下し二度と子どもが授かれなくなることもあります。
また、パイプカットは確実性が高い方法ですが100%避妊できるわけではありません。
アメリカ泌尿器科学会のガイドラインによると、術後精管が繋がるなどしてごく稀に妊娠するケースがあるようです。とはいえ妊娠の確率は非常に低く、避妊成功率はほぼ100%といって間違いないでしょう。
おわりに
子育てが終了し、妊娠を希望することがない人にとってパイプカットは有効な避妊方法といえます。
しかし、一度手術を終えると完全に修復することが難しいため、安易な気持ちで手術をおこなうことはおすすめできません。また、若い方や独身の男性は手術を受けられない場合もあります。
パイプカットは確実性が高い反面、後戻りすることができない手術です。パートナーとよく話し合い、双方が納得したうえで手術を決断しましょう。